所得税の季節になってきた。この時期に思うのは、源泉徴収制度の不思議である。徴収するのは給与など、所得を支払う支払機関である。税務を代行している。それなのに税務署から怒られる。
扶養家族の申請などは不正が多いとのことで、源泉徴収の代行機関から書類をいろいろ要求される。代行機関としては税務署から怒られないための自衛である。
控除をいろいろしてもらおうとすると、この書類書きが面倒である。だから、気の弱い私などは、両親を扶養家族にしていない。しようと思えば、ちゃんと手続を踏みさえすると可能なはずだ。それで誤算は、両親が予想外に長生きなことである。最初は、手間暇かけて扶養家族にしたところでどうせ10年程度の効果だろうと思っていたが、その倍以上の効果がすでにあった計算になる。
源泉徴収制度は国民から税に対する意識を剥奪する。だから税を無駄に使われてもあまり文句を言わなくなる。それでいて、政府にとってきわめてあんちょこな徴税制度であり、所得を把握されやすいサラリーマンが損をする。そもそも「所得を把握されやすい」なんて思われることが政府にとって本来は損なはずなのだが。早いこと納税者番号制度を設導入し、ついでにサラリーマンに対する源泉徴収制度を撤廃してもらいたいものだ。
何て書いたのには理由がある。夏に騒いでいた公的年金の支給を受け始めたのだが、源泉徴収に関して扶養者控除の申請をしろと言ってきた。「給与をもらっているところでも書かされるのに、何で2回も、統一したれや」と思う。
とはいえ、仕方ないので書類を埋めて、投函しようとしたら、切手を貼れという。「お手数ですが・・・」と切手を貼る枠にある。「お手数やなくて、申し訳ありませんが、やろ」とつぶやきながら、「頼んだわけでもない源泉徴収の手続を完結させるための書類を作成させられ、さらに切手代50円まで使わせられる制度って何や」と感じた次第である。
まあ、最初から切手を貼る必要ありと知っていたら、どうせ給与と年金と2箇所から所得があるわけだから確定申告が必要となり、ここで扶養者控除の書類を作っても意味がないので、書類を作らなかったのに。作成してしまった書類を捨てるのもくやしいので、切手を貼って投函することにした。
2010/12/08