雑誌向けの原稿を書くため、日本の株式市場を企業単位で分析した。2000年の年初からこの間の投資収益がどの程度あったのか、その計算である。驚いたことに、企業はそれなりに頑張っていた。
この約11年間、東証株価指数は年率で約5%の下落だった。これに対して、2000年の年初に東証1部に上場していた企業(正確にはこの11年間連続して上場している企業)を選び、その株式に投資したとする。そうすると、半分以上(55%)の企業が値下がりしていない。さらに、2倍以上になった企業は約2割に達している。11年間で2倍とは、年率6.5%の投資収益率である。
企業を選別し、まあ少数の企業に投資するのでは見誤りがあるから、多少の分散効果を働かせ、長期的にじっくりと投資すれば、それなりの投資収益が得られることになる。日々の株価に一喜一憂し、売買を繰り返すことは良くない。東証株価指数を模倣する投資、すなわちインデックス運用は最悪に近い。というのも、個々の企業で東証株価指数を下回ったのは2割強にすぎないからである。
日本の企業も捨てたものではないということだが、かといって、11年間で2倍になったとしても大したことはない、まあまあとも言える。株式市場に活気が戻るには、やはりマイクロソフトやグーグルやアップルのような、誰もが納得するサクセスストーリーが必要なのだろう。かつての日本では、松下電産やソニーや本田のような企業だ。それが無くなって久しいから、株式市場離れが加速している。
2010/12/12