今朝の会合で欧米金融の本当のプロから効いた話である。アメリカでは、個人の貯蓄率が高いままで留まる可能性(つまり消費が回復しない可能性)、財政への懸念が強いという。ユーロ圏はどうか。
こちらはドイツの独り勝ちに近い。かつてマルクだけが上昇を続け、他の通貨が下落していたことを思い出すといいだろう。現在はユーロが唯一の通貨であり、そのユーロが周辺国の懸念から下落している。このため、ドイツは恩恵を享受し、輸出競争力が増大しているわけだ。
勤勉な、つまりアリ的な国と、楽天的なキリギリスの国が混ざり合い、アリの国に富が集まり、キリギリスからは富が亡くなるのだが、ユーロが一家を形成しているから、最後はアリがキリギリスを支えることになる。もっともアイルランドはキリギリスとは言えないながらも、背伸びして天空を目指したチョウチョみたいなものか。ドイツとしてはできればキリギリスやチョウチョを支えたくないわけだが、キリギリス達と生活を共にすることによって得た利益の還元だと思えば、腹も立たないだろう。
アメリカに対する私の感覚は悲観的ではない。人口も増加し、企業から革新的な発想も生まれている。とはいえ、財政について大きな懸念があるのは確かである。中国やインドがアメリカと覇権を争う構図が明確になれば、アメリカ財政への懸念にスポットライトが当たるだろう。
その中で日本はどうなのか。これに関してはスポットライトの当たる領域がなかった。逆に、すべてにスポットライトが当たったとも言える。つまり、支離滅裂との結論だったことになる。国に頼らず、自分自身で対応するのが最善だろう。
2010/12/17