川北英隆のブログ

世代間の不公平論議は本当か

社会福祉に関して世代間の不公平を声高に論じるコラムやマスコミの記事が目立つ。これから払う年金掛け金などの金額と貰える金額との差額が若年層でマイナスになる、だから若年層を蝕むとの主張だ。
これに対し、もしも高年齢層がボケていなければ、「どアホ」と言いそうだ。わが家の父親なんか、「誰のおかげで平和な日本があるんや、不公平なんて言うのなら、戦争時代の時間を償え」、「それとも無理やり戦争に行かされてもかまへんのか」と言うだろう。残念ながら、その年代の老人にはもはや理解する能力がない。そもそも、社会福祉の負担と給付なんて理解できない。
戦争と言わないまでも、社会のインフラを作った努力、経済発展に貢献した努力をどのように評価するのだろうか。少なくとも単純な社会福祉に対する支払と受け取りだけで評価するのは大いなる誤りである。たとえば大学での高等教育を受けられる割合(圧倒的に現在の率が高い)、持ち家率(これも同じ)を総合的に考慮しなければならない。その上でこれからの世代が経済的に不幸なのかどうか、議論して欲しいものだ。経済的に、今の世代が不幸だなんて論じる者がいれば、堂々と出てきて論陣を張ってほしい。
結論は、社会福祉だけで議論するのは視野が狭すぎる。この結論は、社会福祉制度の改革は不必要だというものでない。社会福祉制度の改革はしっかり議論すべきだし、あまりにも改革のテンポが遅いのだが、それと世代間の負担というか経済的幸福度の問題を一緒くたに論じてはいけない。社会福祉制度は世代間の負担の一部にしかすぎないのである。

2010/12/18


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