川北英隆のブログ

世代間の問題の要因

社会福祉制度だけをことさら取り上げ、世代間の不公平を議論するのは問題だ。しかし、今の若い世代がハッピーとは言えない。何が日本の若い世代を「不幸」と思わせるようにしたのか。
1990年以降、むしろ1980年代の半ば以降と言ったほうがいいだろうが、日本から前向きな思考が途絶えたことが大きな要因だろう。当時の主導者が高度成長期の成功体験にこだわり、既得権益にかじりついた。このため、日本から新たな経済的発展が消滅してしまった。当時の日本全体が経済的な成熟に満足してしまったと言えばそれまでだが、同じように先進国だったアメリカやドイツのその後と比べ、日本はどこか違ってしまった。失速したのである。
何回も書いているが、マイクロソフト、インテル、ヤフー、グーグル、アップルのような企業を生み出せなかった。これが、当時の主導者層すなわち現在の年金受給層が残した大きな失点である。機会損失的ともいえる、負の遺産である。言い換えれば、高度成長期が終わって以降、経済的進歩が何もなかった。むしろ、内弁慶に徹した、小姑/小舅的な古い体質の企業ばかりになってしまった。企業ばかりではないだろう。政治や政府も内弁慶であり、小姑/小舅的だと思える。
社会が豊かだったから、内輪に対して互いにちょっとばかり意地悪をし、これが規則だ、そんなことはできないと言い争っていたわけだが、それでもって当面は大した被害が生じないところが落とし穴だった。しかし、少し時間が経ってみれば、隣は家を改築したのに、わが家の柱は傾き始めている。そんなところだろうか。
そんな社会にしてしまったことに対し、かつての経営者が多く属している今の老人というか高齢者は大いに反省すべきである。また、それに対して若者は反発し、そんな老人を拡大再生産しないために思考し、行動すべきだ。正しい社会福祉制度のあり方の論議とは、以上のようなものだろう。

2010/12/19


トップへ戻る