遅ればせながら、1月末に公表された統計の分析を行った。といっても、一番肝心な貿易統計だけだが。その貿易統計を分析したところ、12月の輸出は、数量も金額も、11月までの状況と様変わりしていた。
世界全体に対する輸出数量の3ヶ月移動平均は、これまでの横ばい傾向を上に突き抜けた。夏以降の頭打ち傾向から抜け出したことになる。地域別にも、アメリカ、EU、アジア(中国を含む)とも、リーマンショック以降の最高値となった。これは、金額ベースで見ても同じである。世界的な景気動向を反映し、輸出が上方に引きあげられたと考えられる。企業の肌感覚に基づく情報も、この輸出状況と大きな差がないようだ。
昨年、ギリシャ問題を初めとして、リーマンショックに端を発する混乱が尾を引いていたが、それらも徐々に終息に向かっている。もっとも、ここにきてチュニジア、エジプトなど、地中海のアフリカ側で事件が発生し、それが心配の種である。とくにエジプトの問題が中東の産油国に波及するのが一番のリスクシナリオである。とはいえ、このエジプトの問題が大混乱をもたらすことなく落ち着けば、世界経済の拡大が日本に好影響をもたらすというシナリオの実現可能性が高まってきている。
いずれにせよ、12月の貿易統計は良い方向でのサプライズだった。分析していないが、鉱工業生産統計の結果も良かった。輸出動向と連動している可能性が高い。
2011/02/03