季節が移るとともに、時代も移る。最近、東京に就職した卒業生から相談を受けることが多い。同時に、一緒に飲んでいる友達との別離も。
就職して数年が経つといろいろあるらしい。事情は同じではないのだが、結局は転職や独立ということになる。相談や連絡を受けたかぎりでは、(ゼミを受け持った、そんなに大勢でない)卒業生のうち6人が最初の職場を離れることになり、もしくは離れたいと思うようになったようだ。
要領良く新しい、それもなかなか採用されそうにない職場を見つけたので移るという相談がある。「そんなん、それでええやん」と思うのだが、移るとなるとそれはそれで心配の種があるのだろう。
金融関係に勤めた卒業生から、独立したいという相談が複数ある。これはなかなかリスクがある。土地勘のあるニッチな(隙間的)領域であっても、ニッチであるだけに難しく、準備段階が1年以上続いているのが1つの事例だ。でも、その準備がなかなか興味深く、ついこちらも深入りしてしまう。何が深入りなのか、もう少し経ってから明らかにした方がいいだろう。
独立は推奨すべきことだ。普通のサラリーマンで一生勤めるとすると、先がほとんど読めてしまう。ハプニングはと言えば、社長にでもなるのが1つだろう。
もう1つは会社が消えてしまうことだ。30年も40年も同じ名前で存続し、栄えている企業がどれだけあるのか。戦後の日本を振り返ってみても、石炭、砂糖、繊維、鉄鋼、銀行などの業種が次々に栄えたが、今では業態としてほとんど残っていないものもあれば、銀行のように元の名前が分からないくらいに再編を経たものもある。
そういう卒業生は「来る人」、相談を受ける度に喫茶をし、食事をして話している。時には同行して関係先を訪問することもある。その中から、いずれ飲み友達も出てくるかもしれない。
そんな飲み友達が増えたら体が持たないと思ったら、世の中は心配いらないようにできている。これまでの飲み友達が2人、遠くにいってしまう。墓場ではない。それぞれ島根と群馬に転居するという。群馬ならともかく、島根なら頻繁には飲めないだろう。島根は東京から見ると本当に地の果てに近い。京都からでも・・・。それとも、アルジェに行くのと同じ覚悟を決めて訪問し、冬の日本海を眺めながら、温泉にでも浸かり、カニで飲むのだろうか。
追記:転職や独立しよう、したいという卒業生の数だか、ぱらぱらと追加で思い出している。このため最初に書いた人数より増えてしまった。
2011/02/17