川北英隆のブログ

食料問題がボトルネック

G20財務省・中央銀行総裁会議で食料や資源などの一次産品価格問題が取り上げられた。高騰に危惧したものである。現在の値上り率が異常かどうかはともかく、食料問題は世界経済に重くのしかかる。
二酸化炭素を初めとする環境問題とは何なのか。要するに地球が狭くなったことに尽きる。人口が多すぎるともいえるのだが、人間をまびくわけにはいかない。狭くなった地球で70億人全員がどう生きるのか、今後増える何億人、何十億人をどうするのかが問題だ。
資源問題は、そうはいってもコストさえかければまだ生産拡大の余地があるのだろう。
1975年当時、石油が近い将来に枯渇すると心配されたが、当時の心配はとりあえず杞憂に近かった。もっとも、そこら中で石油を掘るものだから、アラスカやメキシコ湾のような地球環境汚染が発生する。地球に負荷をかけてしまったという意味で、これもコストである。
これに対して食料はどうなのか。耕作可能な土地は限定されている。水の供給が限定されていることが耕作の限界とオーバーラップしているともいえる。この意味で、食料問題は深刻であり、当面は価格上昇によって消費量を抑制し、一方で高価格を「餌」に可能なかぎり耕作を促すことになりそうだ。それでも限界が生じ、飢えと暴動によって人間がまびかれる結果に行き着く危険性がある。価格という市場メカニズムが需給を調整するという平和な経済理論が、地球という制約条件を考慮せざるをえなくなり、大きく変化するとも言える。
人工的な光合成が完成すれば食料の限界は打破できそうだが、その時の人間は宇宙食のような味気ないものを食べているかもしれない。その人工食料の原料が石油精製の廃棄物か、汚水か、空気かなんて表示されるかもしれない。まあその頃に生きていない者にとっては他人事だが。まだ地球が広い時に生まれて良かったと思う。

2011/02/20


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