川北英隆のブログ

定年後のポートフォリオ3

ついでに書いておきたい。最近、日経の紙面では「財政改革が遅れると日本もギリシャのようになり、公的年金がカットされる」という書き振りが目につくようになった。これとポートフォリオの関係である。
「すでに支給されている公的年金がカットされるのなら、日本国内での生活資金が不足するわけだから、円資産を大量に保有しなければいけない」、「だからポートフォリオが円に偏っていて問題ないのではないか」と考えるのは、すぐに分かるように短絡的である。
すでに支給されている公的年金がカットされるのは明らかにデフォルト(債務不履行)である。そもそも、過去に働いた分に対する公的年金の支給額をカットしたり、支払い時期を遅らせたりすることも、それを民間企業がやればデフォルトなのだが、何故か(国が約束したわけではないとの理由から)公的年金の場合はデフォルトとされない。
公的年金がデフォルトする前に財政や政治は混乱しているだろう(今でも混乱しているとのヤジが聞こえてきそうだが)。その混乱はギリシャと同様、国の信用力の凋落である。混乱を反映して大量の資金が日本から逃避するだろう。円レートが急落する(急速に円安になる)ことでもある。その時、外国通貨で資産を保有していれば、「円」で評価して一気に金持ちになることを意味している。
公的年金カットをリスクと感じ、円資産を積み上げることは間違いである。そのリスクを想定するのなら、むしろ海外資産を積み上げるべきである。つまり、日経の紙面を裏読みすれば、海外資産保有の勧めである。

2011/03/04


トップへ戻る