東北、関東が大地震の打撃からできるだけ早く回復することを願っている。テレビやネットで悲惨な光景を見るたびに胸がつかえる。回復への願いはこの感情からだが、理性的に考えても回復は早いほうがいい。
回復が遅れれば、日本経済全体に悪影響が波及する。株価が急落したのは当然である。足元の業績回復が怪しくなってきた。東京周辺の計画停電、鉄道網の混乱は、直接的に地震の被害を受けなかった地域や企業にも打撃である。
株式市場と比べ、為替市場の反応はあまり理解できない。「阪神淡路大震災の起きた1995年に円高になったことの記憶から」、「リスク回避から日本に資金が戻ってくるから」、はたまた「復興景気への期待」と、いろいろ説明されるが納得的でない。
1995年と現在では経済環境が異なる。表面的かつ単一の現象を見て「同じことが起こる」と考えるのは二流の新聞記者的発想でありプロではない。
復興景気への期待という理由はもう少し合理的な発想だが、復興するまでに何年必要だろうか。それまで、日本経済が持つのかどうかも考えなければならない。復興には財源が必要だが、追加で国債を発行するのか、増税で賄うのか。前者は日本の信用リスクを高める。後者は日本経済の頭を押さえる。復興が完了したとしても、日本の生産能力が元に戻るだけなのに、である。
リスク回避という理由はもっともらしい。しかし、地震という大きなリスクが日本にあったことも考慮しなければならない。少し離れた地震であっても、首都機能は半分麻痺している。今回よりも小さい、マグニチュード7台の地震が首都圏で生じただけでも、日本経済は壊滅的になるだろう。日本に資金を戻して「リスク回避」のつもりが、実はリスク集中している結果になりかねない。
ということで、日本の投資家が合理的に行動するのなら、今回の地震をきっかけに円安が明白になると思うのだが。どうなることやら。
2011/03/14