「そう、そうそう」って吉本のギャグだが(関東人は知らんやろ)、保険金支払いに関して。円レートが急落した背景に、保険金支払いに関するデマがあったらしい。正しい知識が必要だ。
事務を担当していなかったのでそんなに知っているわけではないが、保険事故が発生し、契約に基づいて保険金が支払われるまで時間が必要である。その間、保険会社は保険金支払いに必要な現金をじっくりと調達できる。
生命保険の場合を想定すると、死亡の証明書を保険会社に提出し、審査があり、その後に保険金が払われる。今回の場合、行方不明者にあっては死亡証明を取得するまでに時間がかかる。このため、保険金の支払いが集中するのは今日、明日ではない。
しかも、生命保険金の支払額は巨額とはいえない。1人当たり1000万円の保険金が払われたとして、1万人が対象の場合、1000億円である。年齢層からすると、これよりも少ないだろう。保険会社の数からすれば、びっくりする額ではない。
問題は損害保険である。保険対象損失額が350億ドル(2.8兆円)近くに達する可能性があるとの推定(リスクモデリング会社のAIRワールドワイド)もあるが、この支払いが現実的だとしても、損害保険の場合、損害の査定が生命保険と比べてさらに時間がかかる。実際に支払われるのはかなり先だろう。今すぐに資金が必要とはされない。よく知らないが大事故の場合、平均的に1年は必要と思う。
ということで、「保険金支払い=円資金の調達=円高」との発想は正しくないのだが。
追記:4/10現在、被害日本大震災の死亡者と行方不明者は合わせて約3万人に達している。3/18の1万人という死亡者数は過小だった。日本生命は500億円の死亡保険金の支払いを予定しているという。生命保険全体で2000?3000億円の支払いだろう。少なくない額だが、かといって保険会社がびっくりする額ではない。
2011/03/18