川北英隆のブログ

原発の巨大災害対策への疑問

ネットのニュースで、日経に先に書かれてしまったことがあった。地震や津波に対する原発の対応が不十分だったとの指摘である。この点は今回、痛感させられた。福島原発の海抜の問題だ。
日経のネットの記事は次にある。いつまで掲載されているのか知らないが。
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819499E0E3E2E2958DE0E3E2E1E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2;df=2
実はアナリストだった頃、1980年前後だったと思うし、場所は福島第一原発だと記憶しているが、それを見学したことがあった。建設されてまだ新しい頃だ。「何があっても大丈夫」と「万全の事前対策」が強調されていた。原発に対する反対運動が強かったから当然だろう。それはともかく、はっきり覚えているのは海に近いということだった。目の前が海という印象が残っている。
地図とグーグル・アースで確認してみたところ、福島第一原発の建屋の海抜は海面と同じではないが、非常に低い。その代わり、大きな防波堤(高さ7メートル程度らしい)が海の脅威から原発を守っている。信頼性は確認できないが、東北電力の女川原発は海抜15メートルの高さにあると、インターネットの情報に書かれている。確かに、グーグル・アースでは福島第一原発よりも高い位置にありそうだ(グーグル・アースには標高も表示されるが、数メートルの誤差は常にある)。
福島第一原発の場合、守護神である防波堤の高さが十分だったのかどうかである。津波の高さが10メートルを超す例は、最近ではインドネシアの大地震で発生していたし、奥尻島の津波も規模が大きかった。この奥尻島ことを思い出し、調べると、10メートルを超える津波は大地震によって頻発しているとのこと。次のサイトは信頼性が高いので、参考にしてほしい。
http://www.bo-sai.co.jp/sub8.html
この事実からすると、「原発には万全の事前対策が施されている」と胸を張るには、10メートルに満たない防波堤では不足だったとしか言いようがない。
言っておくが、今回の事故は東京電力だけの問題ではない。原発は経済産業省が管轄しており、有識者を集めた原子力安全委員会も設置されている。これらの組織で地震対策が検討されてこなかったのかどうかである。調べていないので何も言えないが。
しかし、建設省が河川の洪水対策として「スーパー堤防」なるものを建設してきた例もある。一人の命も万人の命も一緒と言えば一緒だが、スーパー堤防よりも原子力発電所向けのスーパー防波堤のほうがはるかに先決だったと思う。

2011/03/21


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