注目されていた3月の貿易収支が公表された。新聞でも報じられているように、大震災の影響から、黒字幅が大幅に縮小した。この状況から推測すると、4月の貿易収支は赤字になる。
3月の輸出額は前年同月と比べて2.2%の減少である。2月が+9.0%だったので、これと比較して、状況の一変が理解できるだろう。前年比でマイナスとなるのはリーマンショックの影響が残っていた2009年11月以来である。
一方、輸入は同11.9%の増加である。2月が+10.0%だったから、大きく変化していない。
以上の結果、3月の貿易収支は1965億円の黒字にとどまった。2月が6533億円であり、かつ3月は黒字幅の大きくなる月だから、やはり今年の3月は異常な数値が出たことになる。
3月の輸出を上、中、下旬に区分して前年と比べると、この3月の下旬の輸出は13.1%減少している。震災の影響を大幅に受けたことになる。新聞にもあったが、この3月は半導体関連、自動車関連の輸出が前年比マイナスに転じ、一般機械の輸出増加率も大幅に縮小している。日本の主力産業が軒並み落ち込んだことになる。
4月だが、3月の輸出入の増減率をそのまま前年4月の数値に当てはめると、貿易収支は1466億円の赤字となる。もしも輸出額が3月下旬と同じ縮小を記録すれば、6542億円の赤字となる。この赤字幅は2009年1月の赤字にほぼ匹敵する。
現実の貿易収支の赤字幅がどの程度になるのかは、1つは、電力供給が回復しつつある現在、輸出の回復力がどの程度であるのかに依存している。もう1つは、電力用の燃料輸入の増加によって、輸入がさらに増加する可能性も気にしなければならない。
これは日本経済にとってリスクである。この60年間以上、大きなリスクに直面しなかった日本にとって、大変な試練である。
2011/04/20