川北英隆のブログ

私は誰

京都市役所の前を通ったら、避難用品の一覧が掲示され、身分証明のため運転免許や健康保険証を持参すべきとあった。思い出したのは、「日本は後進国だ」との憤りを何日か前に聞いたことだ。
「私は誰」をテーマに、このブロクでも何回か文句を書いたことがある。それと同じ趣旨のことを元IBMの役員が語っていた。かつて、その人はシステムとしての個人認証の方法を日本政府に提案したそうだが、議論の末に却下されたことがあるという。それを今回の震災で思い出し、憤っていた。曰く、「指紋の登録を含む認証システムが効果的だ」と。そうすれば、「避難した住民の本人確認や遺体の確認がスムーズになる」というわけだ。しかも、「犯罪捜査も格段に進歩する」と。
付け加えると、復興費用を臨時の増税で賄う場合も、真の所得に応じた負担が可能となり、国民の納得を得やすい。そもそも、個人認証が困難だから、所得の把握がいい加減になり、税や社会保険料の負担に対する不公正感が強まる。
「でも、個人情報が漏洩するリスクにどう対応するのか」という質問に対しは、「厳罰がいいのでは」と語っていた。賛成である。最低限、無期懲役の刑だろう。今日、報道されていたソニーのような外部からの侵入もありうるから、その対応を何重にもしておかなければならない。
そんな認証システムの理想からほど遠いのが日本の現実である。だから、災害に出会ったら、いとも簡単に「私は誰」状態に陥る。身分証明書類を持って逃げる機転と時間があるのかどうか、持って逃げたとしても、紙なら水に濡れてしまう可能性だってある。そもそも、健康保険証には顔写真がないから、他人になりすますのはいとも簡単である。
いつの間にか、いろんな面で日本は後進国になりつつある。

2011/04/27


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