ぐったり疲れ、仕事から帰ると「浜岡原発、全面停止」とのニュースがネットに出ていた。何のことやらにわかに理解できなかったので、次の関連記事を開いたところ、「あっ」と思うニュースだった。
「あっ」と言わなかったところが微妙だが、普通は声に出さないだろう。少なくとも男は。
この菅政権というか、菅首相の判断の評価は難しいが、第一印象は「勝負に出た」というものだ。このままでは次の選挙は大敗だろう。だから、ここで勝負に出ても失うものはない。万が一勝てば、大きな利得である。ファイナンスの世界でも、囲碁や将棋の世界でも常識とされる行動であり、多分政治の世界でもそうだろう。
しかし、勝負手はタダではない。「負けそうな者」にとって、「負けて元々、何らかの効果があったら大儲け」なだけだ。今回の浜岡原発の場合、国民にとって急ハンドルのようなものだから、「では、発電コストをどうするのか」という問題が生じる。
画策されているように、これまでの政府と東電の不始末、つまり原発事故による損害を、電力会社全体として賄う可能性が高まっている。加えて、東電は夏の電力を供給するため、コストの高い火力発電に頼らなければならない。
これに浜岡原発の休止が加わる。その発電能力は360万kwである。複雑だが、すでに2つの発電設備、合計138万kwが早期に営業運転を終了しており、この代替機の建設計画が進んでいた。これも影響を受けるだろう。合計、500万kwの行く末が不透明になってしまった。いずれにせよ、これらの要因によって日本の電力コストがさらに上昇し、電気料金に跳ね返てくる。
「で、今後のエネルギー政策をどうするんや」というのが最大の疑問だが、今日の菅政権には、その答えはないようだ。とりあえずの「勝負」であり、その後のことは、ゆっくり考えるのか、考えるつもりがないのか、よく分からない。日本のエネルギーをどうするのかの政策を早急に打ち立てるのが良心のある政権というものだ。
2011/05/06