東電の原発事故、その賠償の枠組を政府が決定した。その方法ですんなり決まるとは思えないうえに、不確定なことも多い。とはいえ、東電が潰れないとわかったので、株価算定が一応可能となった。
適当に数値を想定し、算定すると、最初に出た値が465円だった。週末の株価に近い。市場の値段って捨てたものではないと思ったが、株価予想としては甘いかな。
ちなみに、465円の想定は、減資がない代わりに経営が不安定で市場並みに株価が変動し(原発事故以前の電力会社の株価変動は市場の半分くらいだった)、10年度後すなわち2021年度から1株50円の配当を再開するが、成長はないというものである。
10年度後の配当再開は、原発抜きの東電の収益力からすると無理な可能性が高い。他の想定を同じにし、配当再開を20年度後にすると、株価は260円となる。30年度後だと145円である。いつから配当が可能になるのかが、株価に大きく影響する。
株価の変動を市場並みとしたことは厳しいかもしれないが、経営が安定化するには政府が株式を保有することが条件になろう。政府が株式を保有するには、その瞬間に減資になるか、配当再開時の1株当たり金額が小さくなるか、いずれにしても現在の株式の価値が実質的に目減りしてしまう可能性を伴う。この意味で、株価の変動を市場並みとし、株価を厳しく算定したことに大きな違和感はないだろう。
個人株主が多く、資産株としての位置づけの高かった東電だが、とりあえずの株価試算は以上のとおりである。もちろん、以上の計算が正しいと保証するものではないし、株価予想を目的としたものでもない。状況が変化すれば、試算値も変化する。あくまでも参考的な試算でしかないことを、くれぐれも断っておきたい。
2011/05/16