旧聞に近いが、4月の貿易統計が公表された。4月上旬、中旬の状況に基づく推定よりも、輸出の減少幅が小さく、輸入の増加幅も小さかった。この結果、輸入超過額も小さくてすんだ。
4月の輸出量は前年比で11.6%減少、輸出額は12.4%減少である。地域別では前地域が前年比でマイナスに落ち込んだが、4月だけをみると欧米向けが急ブレーキである。
品目別(輸出金額)では自動車・乗用車が前年比で67.9%減少、電子部品が19.0%減少、建設用・鉱山用機械が15.7%減少と、いずれも日本の主力品目の落ち込みが大きい。また、食料品も22.9%の減少だった。食料品は原発事故の直接、間接の影響だろう。一方、化学製品、金属加工機は比較的堅調であり、前年比でプラスを保っている。
4月の輸入量は前年比で1.3%増加、輸入額は8.9%の増加である。品目別(輸入金額)では、原油をはじめとする鉱物性燃料が増加している。しかし、その増加は「目立って著しい」というほどではない。強いて言えば、液化天然ガスの増加が目立つ程度である。また、食料品の輸入の増加も少し目を引く。一方で、原料品の増加率が縮小しつつある。価格の急騰が一巡したためだと考えられるが、一部に国内での生産活動の低下の影響があると考えられる。
今後、輸出では自動車の回復が見込まれる。輸入では、夏場の電力需要が本格化するため、燃料の輸入も増えるだろう。以上があいまって、しばらく輸入超過が続くだろうが、夏を過ぎれば再び輸出超過に戻ると考えられる。その戻りの速度と幅に注目することで、日本の経済活動にどの程度の変化が生じたのか、判明するだろう。
2011/06/01