川北英隆のブログ

鉱工業生産4月へのコメント

これこそ旧聞に属するだろうが、故あって分析したので、経済産業省が先月末に公表した4月の鉱工業指数の状況をコメントしておく。結論は、自動車と電子部品を除いて震災の影響を脱しつつある。
4月の生産指数(季節調整済)は前月比1.0%の上昇となった。3月が15.5%の大幅な低下だったことと比較すると、震災後の大混乱から脱する兆しがうかがえる。今後の5月、6月について、鉱工業生産の予測指数はそれぞれ前月比8.0%、7.7%の上昇となっている。これは、次に述べるように、乗用車の生産再開が本格化することを意味する。この点、新聞などで報道されているとおりである。
4月の生産指数の低下は、主に自動車と電子部品・デバイスの生産縮小による。自動車のうち乗用車は前年と比べて生産量が約6割減少している。4月の電子部品・デバイスは3月と比べて10%以上の生産量の縮小がみられる。この2つの品目だけで、4月の生産指数を前月対比で約2%低下させている。言い換えると、この2つの品目がなければ、4月の生産指数は前月比で約3%上昇したことになる。つまり、自動車と電子部品・デバイス以外の品目の生産がおしなべてボトムアウトしたということでもある。
5月、6月と鉱工業生産の上昇が予測されていることは、裏を返すと、大きく落ち込んだ自動車の生産もボトムアウトすることに他ならない。大震災後の生産の回復速度は予想外に速い。

2011/06/07


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