川北英隆のブログ

小笠原の世界遺産登録に思う

ニュースによると小笠原諸島が世界自然遺産に登録されるそうだ。明るいニュースだが、心配なことがある。小笠原が通常の観光地になり果てることだ。
自然遺産に登録されてから近寄っていないが、聞いていると、通常の観光地になり果てそうなのが屋久島である。小さな島に観光客がどっと押し寄せ、遺産の保全や廃棄物の処理に、あり余る懸念が生じている。むしろ現実問題となっているのだろう。屋久島の町議会が縄文杉周辺への立ち入り制限を提案したそうだが、観光への影響の懸念から否決されたという。
以前からの主張だが、本当に自然が好きなら、多少の入園料を徴収されたとしても訪れるはずだ。それで尻込みするのは、浦安で遊ぶミーハー未満である(実は浦安の某所に行ったことないもので、実に強気になれる)。そんな輩を無視することに何の躊躇があるのだろう。泥棒であれ近所の人であれ、家に入って来る者は拒まずという姿勢なのか。何て、過激に思ってしまう。
1994年だったか、登録される前に屋久島を調査し、地元の有識者と観光地化の懸念などを議論したことがある。「それってなあに」と質問されそうだが、森林調査という「非常に先端的な研究をしていた」と答えておこう。疑問があるのなら、調査報告書も公開されているので。って、まあ信じてほしいものだ。それはともかく、当時の懸念が現実になり、観光という産業政策がすべてに優先するという(「電源開発がすべてに優先するのと同じこと」と説明すると理解されるかも)、変な理屈で物事が決まっているらしい。
でも、観光地化が急速に進み、縄文杉が枯れ果てた屋久島はどうなるのだろうか。そこまで考え、長期的な視点に立った本当の意味での屋久島の政策を議論してほしいものだ。
それと同じことだが、小笠原も、「観光万歳」にならないように願いたい。石原はんの晩節にも関わっていることだし。

2011/06/24


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