川北英隆のブログ

経営者の評価がポイント

「日本株は買えるのか」を6/21に検討した。その資料をたたき台とし、実際に日本株を長期的な視点で購入し、保有している投資信託の責任者の話を聞いた。結論は経営者が重要なようだ。
話を聞いたのは、さわかみ投信とコモンズ投信である。両社は独自の哲学で日本株に投資している。両社は良好なパフォーマンスをあげている。
細かな論点を無視して、主観を交えながら両社の選択眼をまとめておきたい。
第一に、過去の財務データ、損益データを使うのかどうか。もちろん使っている。しかし、このような定量的なものだけではなく、それに加えて定性的な評価が重要だという点で一致していた。
第二に、その定性的な評価である。さわかみ投信はアナリストが将来の社会をイメージしたうえで、投資対象企業の財務・収益のシナリオを作り、そのシナリオと実際の企業経営を比較するのだそうだ。その結果として、実際の経営が望ましい路線に沿っているのか、外れているのかを評価するようだ。コモンズ投信も定性的な評価に基づいて潜在的な投資対象企業を選定している。結論として、経営者が望ましい事業ポートフォリオを設定し、それに向けて努力しているのかどうかを投資の是非の判断基準としているようだ。もちろん、実際に株式を購入するとの意思決定に至るには、経営者の目標と投資家の判断とがある程度一致しなければならないだろう。
以上から言えることは、ポイントが第二の視点にあるということだ。具体的な企業選定の方法までは明確にならなかったが(当然のことだが)、投資家として、企業が発展するために何が必要なのかのイメージを持つことと、投資対象企業の経営者の目標と過去の行動を調査、分析し、両方がどの程度共鳴するのかどうかがポイントとなるようだ。
これは両社に限ったことではない。やはり長期的な視点から企業の環境行動、社会行動を分析しているグッドバンカーも、結局は同じ方法に基づいている。つまり、環境や社会の観点から望ましい企業像をあらかじめ設定し、その上で分析対象企業の過去の行動と将来の行動計画を分析している。
経営者も投資家も目標と方法論を確立しておかなければならない。そんな経営者と投資家が意気投合して、株式投資が実現する。個人が株式投資する場合も、「面白い会社だ」、「良い会社だ」と思うことが投資のきっかけとなる。それと同じことだろう。

2011/06/25


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