川北英隆のブログ

ユーロの行方

経済圏としてのユーロと、その通貨が揺れている。去年、ギリシャ問題の勃発時に述べたと思うが、壮大な実験の成否が問われている。関西と関東ならともかく、ユーロ圏の内部は大きく違う。
民族的な価値観も、風習も、経済力も違う国々が集まって本当に成功するのか。集まることによって大きな成果を得た国もあったはずだ。現在、ユーロが安くなっているが、ドイツは内心大喜びだろう。もちろん経済圏が拡大することで、すでに経済的に大きな成果を得てきたことも確かだから、得が大きかった。
サブプライムローン問題以降、大きな混乱がユーロ圏に生じているわけだが、ドイツやフランスという大国にとって大きな成果があったわけだから、すぐに廃止とはいかない。大国にとってみれば、どのように、これまで得た成果を放出し、経済圏を保持するのかどうかの決断が迫られている。
しかし、弱小国にとってみればどうだったのか。2007年までは物価が上昇し、バブルが生じ、見かけだけが良くなったにすぎない可能性がある。ドイツなどの大国にしてやられただけかもしれないのである。
その弱小国にとっては、事がここまで至れば、まずは何がなんでも資金的な援助を受けるのが筋だろう。その後、大国からの援助によって、民族的な価値観や風習に修正が迫られることになるだろう。その修正要請にどこまで本気で応じるのかどうか。それによってユーロ圏が永続的なものになるのかどうかが決定するように思う。

2011/07/13


トップへ戻る