日経の朝刊によると政府の向こう3年間のエネルギー需給安定化策なるものの全容が明らかになったとある。その内容は、要するに節電である。経費節約こそ大黒柱という企業を連想した。
典型的なダメ企業は経費節約がすべてとばかり、縮小均衡に入る。しかも、どこまで縮小したらいいのか明確に示さない。正確には、「示せない」のである。当初、無駄なことがいろいろ発見できるから社員は協力するが、いつ果てるともない節約運動は、すぐに社員の意欲をそいでしまう。節約できることを無理やり探し出すこと、雑巾をとことん絞ることは、新たな無駄な作業となる。
節約をバカにしているわけでない。しかし、一番の節約は「寝ること」である。適度な活動と節約とを組み合わせることが重要なのに、「ほな寝てよか」と言わせては何にもならない。
エネルギー消費を抑制するには国内で生産しないことが一番である。いつ電力供給が停止するかわからないことは大きなリスクでもあるから、このリスクを強く意識すると、ますます海外に生産拠点を移すことになる。またエネルギーコストが高くなるかもしれないことも、海外移転を促す。かつて日本のアルミ精錬量は多かった。しかし、電力料金が高騰してしまい、国内での精錬はほとんど消滅した。それと同じことが今後、もっと多くの業種で生じかねない。
つまり国内生産の縮小である。生産の縮小は税収の縮小となる。海外生産による利益は海外諸国の税収となってしまい、日本国にとってそんなに魅力的でない。
日本の税収が縮小すれば何が起きるのか。政府も節約するだろうから、単年度の歳入不足(赤字)はあまり拡大しないかもしれない。しかし、過去の借金の相対的な大きさが自然と大きくなる。住宅ローンが残っているのに家計の収入が減った場合をイメージすれば、それで十分だ。
日本経済が縮小均衡過程に入ることは、たとえ政府の収支がゼロバランスすると仮定したとしても、危険なことである。多分、どこかで政府財政がクラッシュするだろう。あな恐ろしや。
2011/07/27