川北英隆のブログ

賢人4人と保険を議論する

今日、賢人4人と話をする機会があった。相手は賢人だから、どこに話が飛ぶかわからないし、自己主張も強いし、きわめて楽しい会合だった。その中で、今後に世界経済の難問があった。
それは、生命保険や年金のような長期の契約が、今後の先進国で予想される低金利に耐えられるのかどうかという問題である。
知らない人には説明が長くなるが(そのために適当に省略するが)、生命保険や年金は代金(保険料や掛け金)を前払いでもらい、それを運用して、将来の保険金や年金の支払いに備える。その運用利回りを事前に想定して、その運用益の分だけ必要な代金を割り引いている。別の角度から見れば、その割引率相当の運用利回りを契約者に保証している。
現実の市場が低金利になると、契約時点で約束した運用利回りの確保が困難になる。日本の生命保険会社が陥った危機である。それと同じことが欧米でも近々生じているのではないかというのが、今日の議論だった。
途中で話しが飛んだので結論はあいまいだったが、このままでは日本と同じ状況に欧米の保険会社が陥りかねないというのがほぼ合意できたところだろう。保険会社や年金として高い運用収益を目指すのなら、新興国への投資を増やすべきだが、リスクに対する規制が厳しいから、それもままならない。結局は2000年前後の日本と同様、「ごめんなさい」となり、いわゆる保険会社のデフォルトが多発するのだろうか。

2011/08/11


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