ノルウェーにいる間に7月の貿易統計が発表されている。新聞でどのように評価していたのか知らないが、公表数値を評価しておきたい。
輸出の回復は停滞したようだ。アメリカ向けが前年比マイナスで、その幅が拡大している。中国向けは再び前年比マイナスになってしまった。世界経済の停滞の影響が波及しているのだろう。
輸出を品目で見ておく。建設用・鉱山用機械が前年比マイナスとなった。一般機械(電気機器、輸送用機器以外の機械)もほとんど前年と変わらない水準にまで伸び率を低下させている。やはり、世界経済の停滞を反映している可能性大である。
一方、自動車・乗用車は急速に回復し、前年比マイナス1桁となった。一時、前年の半分近くにまで落ち込んだことを思うと様変わりである。これに対し、半導体等電子部品の回復は芳しくなく、震災時に落ち込んだままでほぼ推移している。乗用車が消費財であり、電子部品が生産財であることを反映しているのだろう。
輸入は量こそ低下気味であるが、金額は高水準にとどまったままである。金額では鉄鉱石、燃料が高水準にある。夏を過ぎれば燃料の輸入はピークを超すだろう。
貿易統計で輸出入の差額を計算すれば、6月、7月と2月連続でプラスだった。しかし、そのプラス幅は小さく、季節調整した数値では4月以降、連続して輸入超過が続いている。8月になり、世界的な景気の停滞が輸出に与える影響と、燃料の輸入がピークを越える影響のどちらが大きいのか、注目しておきたい。
2011/08/31