一昨日、アメリカで株価が急落した。その前に、日本政府は為替市場に介入し、アメリカドルに対する円高を阻止しようとした。これらの背景に何があるのか。
2008年9月のリーマンショック以降の半年、世界経済は大波乱をきたした。その後の2、3年間、世界経済はおおよそのところ回復プロセスをたどったわけだが、欧米と新興国の間では回復のスピード感が異なっている。新興国は過熱状態になり、一方の欧米はぼちぼち回復という程度である。ましてや日本は、欧米よりも遅れている。
この回復速度の差は世界経済に摩擦を生じる。中国やインドは金融引締めの、それも最終段階かもしれない。これに対し、欧米は超金融緩和からの脱却を試みようとする段階にしかすぎない。ついでに日本だが、超金融緩和からの脱却については、長期的な課題としてしか認識されていない。
この現状をグローバルな視点から評価すれば、新興国が経済の過熱にブレーキをかけ、欧米は依然として経済活動を促進しようとしている。要するに、世界の経済の状態はちぐはぐというか、摩擦が生じている。表現はともかく、マクロ的にみて、世界経済はエンジン全開でない。新興国のウェイトが小さければともかく、かなりの影響を与えるようになっているから、片方がアクセルを踏み続けており、もう片方がブレーキをかけようとしているのは、実に不安定である。
とはいえ、各国の動きがちぐはぐだから、極端な過熱状態ではないと安心もできる。少なくとも、全員一致型のバブルではない。この安心感を伴いながら世界経済が回復を続けるのか、不安定な状況がさらに深刻化して失速するのか。その分岐点に差し掛かっているから、相場の変動率が上昇している。いずれ株価が急反騰するか、さらに下がるか、どちらかに賭ける(もしくは安定に賭けない)ポジションが利益をもたらしそうだ。
2011/08/06