川北英隆のブログ

潔癖症の結末は酸素ボンベ

訳あって友人が、これまで住居にしていた比較的新しいマンションを貸し出すことになった。最近、その入居者が見つかったが、その注文がうるさいそうだ。要するに潔癖症らしい。
備え付けの洗濯機を替えてほしいとか、バスタブを徹底的に掃除して欲しいとか、壁紙を全面的に取り替えろとか、いろいろ要求があるらしい。他人が使った洗濯機や風呂が汚らわしく、嫌なのだろう。そんなことでは、ホテルや旅館でどうするのだろうかと思う。
そういえば、最近の傾向として、潔癖症を加速させるようなコマーシャルが目立つ。「ソファーに座ると、他人(ひょっとして家族)の汗が育んだ雑菌がいっぱい」という類のコマーシャルがあるが、「そんなこっちゃ電車やバスの座席はもっときちゃなくて座れへんで」と思う。その割には、前にも書いたように、長い髪をべろべろさせたシャンプーなんかのコマーシャルが大手を振っている。長い髪は傍に雑菌を振りまいているようなものだし、「その髪がオッさんの服や顔に触れた分には新たな雑菌が付着するんやで」と注意したくなる。そこまでイメージしないのだろうか。いずれにしてもコマーシャルは身勝手にできているのだろう。
それで潔癖症だが、究極の潔癖症とは、他人と一緒の空気を吸いたくない欲求だろう。「マイ空気」と称して、酸素ボンベを背負って通勤、仕事、生活を送ることになる。そんな潔癖症をくすぐるように酸素会社のコマーシャルが流れると、単純に笑えるようにも思うが、ひょっとすれば非常に複雑な気分になるかも。

2011/08/06


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