川北英隆のブログ

政府として必要な機能

昨日の賢人との議論では、政府として何が必要なのかも話題となった。防衛と外交という意見と、市場機能のためのインフラという主張があった。2つは両立する。
いずれ世界は1つの緩やかな政治的結合体になるのかもしれない。今のEUのようなものだ。そうなると、防衛や外交の地位は低下する。しかし、そのような状態の実現はまだまだ先だろう。ということは、日本であれば日本という1つの国を前提とした防衛と外交は重要な機能となる。もっとも、防衛が杞憂の上に成立しているとの議論がありうる。まあ、この点は後日に議論してみよう。
市場機能のためのインフラ論はまさにそのとおりである。政府が経済を計画したところで碌なことはない。第二次大戦後の日本は政府の主導で成長したが、欧米という手本があり、国民が従順だったからにすぎない。官僚には「横文字を縦に変える能力」があったかもしれないが、独創力があったわけでは決してない。今後、日本政府が計画経済的なことを目指すとしても、手本がないから、不可能である。グーグル的、アップル的な発想が前例主義的な政府から生まれるのかどうか、自問自答してみればいい。
市場機能のためのインフラとして何が必要なのか。要するに市場経済の機能発揮のため、さまざまな障壁を取り払うことである。民法や会社法のような取引ルールの明確化、取引に際する最小限の情報開示、関税を代表とする金銭的障壁の撤廃、道路や港湾等の必要最小限の社会資本の整備・その整備を促す体制の確立、必要最小限の社会福祉制度の確立、独占的地位・内部情報の乱用の禁止、市場経済の暴走を防止する規制の制定と監視(金融機関の規制、環境の配慮など)、以上のようなところだろうか。もちろん、以上の機能を発揮するための費用を捻出する必要性から徴税能力が求められるが、これはあくまでも従である。
この基準に基づけば、現在の政府の機能はいろんなところで過剰である。どことは言わないが、過剰な既存業者・営業者の保護、政府による経済的目標の設定、政府による市場機能の提供などが行われており、これが余計である。つまり、人員削減と組織の廃止は今後の課題として残っていて、それだけで政府支出の削減が十分に図れるだろう。これまで、どの政権も真面目に取り組んでこなかったテーマである。

2011/08/12


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