今日、8月の貿易統計が公表された。季節的に8月は輸出が低下する。お盆休みのせいだろう。貿易統計での輸出入の差額は3月ぶりに赤字となった。当然の結果だ。
最初に輸出入の差額を確認しておくと、赤字額は5月の8573億ドルに次ぐ大きさ(7753億ドル)だった。季節調整した後では、7月よりも赤字幅は拡大しているが、4月、5月ほどではない。震災後の大混乱を脱したためだろう。
8月の輸出の状況は、国内での生産がほぼ通常の状態に復旧したことを反映しているようだ。前年の8月と比べて、輸出量、金額ともに上回ったのがその証拠である。ここから先、どこまでが震災の影響で、どこから先が世界経済の影響なのかは、適当な前提を置いて計算するしかない。つまり、いずれにしても推定の域を出ない。
とはいえ、気になるのは地域別に見て、アジア向けの輸出が芳しくないことである。今日は速報段階であるため、数値は公表されていないが、中国向けが数量ベースで低下気味だと考えられる。これに対し、欧米向けは増加しているものの、その水準が低い。欧米経済の回復スピードが鈍化していて、それを反映しているのかもしれない。
このまま、世界経済の伸び悩みと、円高にともなう日本企業の価格競争力の低下、生産拠点の海外シフトによって、輸出入の差額の赤字基調が続くのなら、為替にも、そして国債金利にもボディブローとして効くと考えられる。
2011/09/21