川北英隆のブログ

貿易統計9月

昨日、9月の貿易統計が発表された。その結果を見たところ、注目点は次の3つか。
1つは、輸出と輸入の差額である。例年、9月は輸出の増える月である。このため、輸出と輸入の差額は、先月のマイナスから再びプラスに戻った。とはいえ、季節調整した後は、わずかとはいえ、依然としてマイナスである。この結果、季節調整後、6ヵ月連続してマイナスを記録したことになる。これはリーマンショック以来のことだ。10月にどうなるのか注目される。もしも、引き続き赤字になれば、リーマンショック超えであり、(手元の統計で得られる範囲では)1990年以降、見当たらない状況となる。
2つには、輸出について、9月は多少盛り返したようだ。地域別には、欧米やアジア以外の地域が増加したように見受けられる。というのも、欧米やアジアが冴えないのに、全体として少し伸びているから。個人的に作っている分析表の地域分類は主要地域だけだ。もう少し調べる必要があるだろう。
3つに、品目別では、一般機械で持ち直す品目が見られる。また、大震災以降、冴えなかった半導体等電子部品に多少の回復の兆候がある。一方、燃料の輸入は、9月になって多少減り気味とはいえ、依然として高い。
10月はともかく、12月になると電力需要が再び増え、原子力代替としての燃料の輸入が増える。季節が冬に突入した場合、世界経済の回復がはかばかしくない現在、輸出と輸入の差額のマイナスが拡大しかねない。貿易動向に注意をはらう状態がしばらく続くことになるだろう。

2011/10/25


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