もう1つ、今日の日経の記事に、「MBO過去最高ペース」というのがあった。今年の事例がまとめてあったので、それを見たところ、古手の企業もあったが、最近の上場企業が多い。
間違っていたら「ごめんなさい」だが、MBO(経営者中心の自社買収)の対象となった企業には、新規に上場して創業者やベンチャーキャピタルが上場益(キャピタルゲイン)を稼ぎ、その後の株価が冴えず、MBOを選ぶことで自ら進んで上場を廃止する例が多いのではないだろうか。
MBOを行う場合、直近の株価にプレミアムを上乗せして買収することになるが(それだけの価値があるのかどうかは不明だが、直近の株価より安ければ一般の株主は誰も応じないので)、それでも新規上場時の株価には届かないかもしれない。
オーナー経営者の側からすると、上場時の株式放出によって稼いだ益を100%失うことなく、元の非上場の姿に戻せる。その後、MBOによる「経営の立て直し」が完了し、再度上場すればどうなるのか。
そこまで経営者が考えていなくとも、最初の上場時にはベンチャーキャピタルや銀行をはじめとする関係者が上場をせっつき、証券会社が上場に関する手数料を稼いでいる。MBOでも証券会社やコンサル会社が手数料を稼ぐ。再上場時には再生ファンドを初めとする新たな株主が利益を稼ぐ。
要するに、何度もおいしいのである。MBOが経営者や一般株主のためにあるのか、それとも証券会社を初めとする仲介機関やファンドのためにあるのか。証券化と同様、自己利益のみ追求する姿勢が介在しやすいだけに要注意、玉と石を見分けなければならない。
2011/10/05