スティーブ・ジョブズの死去を知ったのは今日の新幹線の中だった。数回書いたと思うが、アップルの製品は好きではない。しかし、アップルの存在は偉大である。
アップルは、アメリカ社会がダイナミックである最大の証拠だ。スティーブ・ジョブズの起業以来27年、彼が潰れかかっていたアップルに経営者として復帰して以来14年という非常に短い期間で、世界の株式市場の時価総額においてトップにまでなったのだから。「時価総額なんて」とは誰も言えない。
それだけではない。アップルの製品を好まない者にとっても、パソコンは必需品である。今のパソコンの巨人であるマイクロソフトは、そもそもアップルの物真似からパソコンの見え方をスタートし、成功した。今日のスティーブ・ジョブズの死去のニュースにあるように、パソコンのアイコンはアップルによって一般化したのである。
もう1点だけ述べておくと、経営者としてのスティーブ・ジョブズが卓越していたことだろう。中小企業の親父的に、いい意味で独善的にアップルを引っ張った。少し前に書いたサムスンもそうである。経営者に能力がないと企業は飛躍しない。日本的に「和をもって」と言うには、その前に経営者自身の能力が問われるのである。能力があってはじめて、独善的な(言い換えればカリスマ的な)経営をするのか、全社員の力を合わせて和の経営をするのかの選択が可能となる。
今後、アップルの経営は変わるのだろう。スティーブ・ジョブズの死去は、ヒューレット・パッカードがパソコンから撤退するのとほぼ同時だった。時代は急速に変化している。
2011/10/06