川北英隆のブログ

世界の人口問題

今後の社会と経済を考えるとき、人口問題を抜きにできない。現在の日本の社会保障が大混乱し、財政が生活習慣病的状態にあるのは、日本の人口問題を正しく議論してこなかったからだ。
10/26、総務省は2010年10月の国勢調査の結果を公表した。
http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2010/kihon1/pdf/gaiyou1.pdf
前回の国勢調査と比較し、「日本人の人口」は5年間で37万人減少した。一方、外国国籍・不詳を含めると28万人増えている。
少し横道に逸れる。「日本国籍かどうか不詳」って何やと思うが、この数が57万人も増えている。不法滞在者なのか。ついでに見ていると、いろいろと面白い。人口に占める女性の割合が上昇している(現在、女性は51.3%)。日本の人口が世界10番目で、ナイジェリアやロシアが日本より人口が多い(ナイジェリアは知らなかった)。人口密度では日本は7番目で、バングラデシュが日本の3倍で圧倒的トップ、韓国が日本の1.5倍、その後、ルワンダ、オランダ、インド、ベルギーと続いている(バングラデシュにそんなに人間がうじゃうじゃいるとは知らなかったし、紛争のあったルワンダは完全に不意を突かれた)。
日本の人口では東京圏への集中が続いている。今年の原発問題で流れが変わるかもしれないが、日本社会にとって人口集中は好ましくない。かつて国は地方経済の活性化、分散化に力を注いだことがあった。しかし、財源の自由度を地方に与えずにやろうとしたこともあり、失敗した。住宅や通勤からすると地方の生活が望ましいのだが。現在、この問題は複雑化している。東京からの離脱と言った場合、いきなり海外というのもありうるからだ。
国連の調査によると、世界の人口は今、70億人だそうだ(10/31に超える)。日本語の白書は次にある。
http://www.unfpa.or.jp/publications/index.php?eid=00031
今後の世界の人口は、中国の増加が止まり、インド、アフリカと人口増加地域が移っていく。2050年の世界人口は93億人と予想している。今の小学生が50歳になった頃の話だ。
水、食料、資源、環境問題と裏腹だ。飢餓、貧困、紛争を拡大することなしに、人口増加が進むのだろうか。とくにアフリカは人口増に耐えられるのか。この世界の中で日本の役割、位置づけをどうするのか。政治家は常にこのことを念頭において議論しなければならないだろう。
「で、アンタはどうするのや」と質問されそうだ。まったく知らなかったナイジェリアはともかく、アフリカ西部、とくに熱帯雨林気候の地域を現地調査してみたいと思う次第だ。

2011/10/27


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