川北英隆のブログ

湖南アルプスのお宝

湖南アルプスって知っているかだろうか。琵琶湖の東南に広がる500メートル程度の山地だ。奈良と京都と滋賀の県境付近である。その主峰、太神山は水晶とトパーズ(黄玉)の産地としても有名だ。
その湖南アルプスを歩いた。500メートルから400メートルの山を4つだ。実は3つ登る予定だったが、それを阻む強敵がいた。マツタケである。
9月中旬から11月中旬まで、里に近い山でマツタケがあがる。「◯◯から△△までマツタケ発生につき、入山禁止」との看板が立てられ、ビニールの縄が張られている。「発生」との表現しかなく、まるで害虫のようだ。ひどい場合、「無断立ち入りの場合、10万円以上の罰金を徴収する」とある。「すいません、道に迷ったもので」と言えばいいのだろうが、最近はキチガイが多いから、撃ち殺されるか、鎌で首を切られかねない。
このため、予定コースの途中で、通常のルートに入れない事態に陥った。引き返すか、マツタケ・バリアを強行突破するか少し考えていたところ、思い付いたのが道なきルートを下る迂回の方法だった。関東では藪山によく入ったから、比較的慣れている。最大のリスクは崖が潜んでいることだが、地形図によると、そのリスクも小さかった。
その迂回のおかげで、懸案として残りそうな十二支の山「猪背山」の登山口の近くに下りることができた。ということで、ついでに猪背山の頂上を往復した。その後、夕暮れが迫ってきたので、少し真剣になった。結果は、当初から予定していた3つのピークも登れた。
かつてのお宝、水晶とトパーズはほとんど面影がなかった。一箇所、水晶を採掘したような穴を見つけただけだ。現在のお宝、マツタケも見かけなかった。やたら「入山禁止」の看板だけが目立った。それどころか、マツタケを採っている人影さえなかった。日本の宝は掛け声だけなのか。

2011/10/29


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