川北英隆のブログ

オリンパス事件2

オリンパス事件、泰山鳴動したけれどという思いが強くなった。今日の会社の公表によると、企業買収を巡る損失は、実は1990年代に運用していたファンドの損失の穴埋めのためだったとか。
企業買収に伴う異常な金額のやり取りには裏があったことになる。どこまでが真実かは依然として不明だが、今日の説明によって大分辻褄が合うようになったのも確かだ。多額の利益を手に入れたかに見えた仲介人は損失隠しの請負人だったことになる。もちろん、それでも破格の手数料を手に入れていただろうが。
この手の損失隠しは名門の山一證券が倒産したのと同じ構図と思える。経営者トップが在任中に損失を明らかにしたくなかったことと、いずれ株価や為替の回復によって損失が消えるとの淡い期待があったのだろう。前社長(2001年から社長)がどの時点から損失隠しに関わっていたのかはともかく、最初の損失隠しを指示した経営者の信任が厚かったのだろう。その信任によって社長のポストを受け継いだのかもしれない。少なくとも、同じく毒を舐めることによって結ばれた絆かもと思う。
それはともかく、素人の事業会社が資産運用に手を出してはいけない。証券会社の(悪意はなかったのかもしれないが)口車に乗せられるのが落ちだろう。損失が発生して「どうしたものか」もしくは「どうしてくれるんや」と言ってみたところ、「いい手がありまっせ」ということで泥沼に陥ったに違いない。
事業会社は本業に必要なこと以外に手を出してはいけないとの教訓が、ここにはある。もう1つ、前回(10/27)にも書いたが、社外役員の役割だ。いよいよ責任問題に発展してきた。社外役員は飾りではない。実質的に何を行なってきたのかが問われている。

2011/11/08


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