大王製紙、オリンパスと続いた日本の著名企業の事件は「日本の企業ってなあに」との疑問を投げかけている。いろいろ反省材料はあるが、要するに経営者がプロでなかったことだろう。
プロの経営者とは、指揮する企業のビジネスを知り尽くしているだけではいけない。経営者自身が万能になれるわけはないから、上手く専門家を使えなくてはならない。専門家を使うためにはビジネスの常識を身につけ、適切に判断できなければならない。
大王製紙事件で思うのは、そもそも経営者とは何か、その基本がなかったことである。公私を完全に混同するのでは、そこらのアンちゃん並みでしかない。大王製紙の場合、ええとこのボンボンで会社内の権力もあるから、むしろアンちゃんよりもたちが悪かったかも。後継者として身内を選んだことに対して、前の社長の責任も大きい。やはりボンボン同様、経営者として失格としか思えない。日本語的には、この親にしてこの子ありか。
オリンパスの事件で思うのは、ファイナンスに関する日本の経営者の常識不足である。株式持ち合いを維持するのは当然のこと、2006年当時はその再強化を進めようとした企業が一般化したが、その延長線にあるのがオリンパスだ。特定の企業との関係強化を否定するものではないが、関係を強化したいのなら株式持ち合いなどという中途半端というか、ちまちました、まじない的な行動を採用すべきでない。株式を保有することのリスクとメリットを明確にし、行動すべきだろう。株式投資なんていうのは企業の本業でないから、いくら優秀な専門家が近くにいるとしても、そんなものに手出しすべきでないのは、昨日のブログのとおのである。
海外投資家からすれば、日本企業の非合理的、不可思議な行動の記憶が下地にあるから、今回のオリンパス事件を重大に考えるのだろう。日本の経営者は公器としての企業のために働くのではなく、最後には前任者や自分のための利益を最重視して動くのだと。
2011/11/09