先週末、ギリシャ問題にとりあえずの手当をしたかに思えた欧州だが、いきなりすごい手が飛び出した。ギリシャが財政赤字の削減策に関して国民投票をするという。さすが気高き老国だ。
そもそも文化度からすると、ギリシャにとって、ドイツもフランスも子供でしかない。発展途上国、新興国の定義をギリシャ人の立場で適用すれば、ドイツやフランスだけでなく、欧米各国や日本も新興国としか思えないだろう。ギリシャ文化の恩恵を受けて欧米の文明が栄え、それによって世界が発達してきたのである。いわば西の文化の拠点である。東の拠点であるインドや中国と並ぶ(これを付け加えておかないと中国に怒られそうなので)。
文字が読めないので間接的に聞いただけだが、法体系が欧米と異なっていて、ギリシャ国内での紛争となるとギリシャの弁護士に依頼するしかなく、しかも狭い国だから弁護士が地下水脈でつながっているとか。また、ギリシャの一大産業は海運業だが、同時に船舶の損害保険事故率の高さでも抜きん出ているとか。故意の事故が多いらしい。文化的な恩恵を施したのだから、保険金を多少恵んでもらってもバチが当たらないとの感覚なのかもしれない。もちろん、債務のデフォルトも過去、複数回発生している。
そんなギリシャをユーロに加えたのはどうしてなのか。当初から反対があったらしいが、最後は欧州全体のギリシャに対する劣等感からなのか。欧州の教養としてギリシャ語やラテン語は欠かせない。オリンピックもその一環だろう。それと同様、ギリシャを欠いたユーロをイメージすることが不可能だったのか。だとすれば、ギリシャの国民投票が財政赤字の削減策に「ノー」と言った場合、ドイツやフランスはさらに譲歩するのだろうか。
ユーロからギリシャを切り離すには痛みが伴う。しかし、切り離さないとすれば、したたかなギリシャの伝統からすると、痛みはますます大きくなりそうなのだが。
2011/11/01