川北英隆のブログ

山と海外の食事・ラサ

中国で一番行きたいとこといえばチベットとその周辺である。その機会が1999年に訪れた。今となっては不良仲間でしかなかったと思う2年先輩の部長から誘われ、成都からラサに入った。
不良仲間だった証拠に、先輩と私は定年まで会社に在籍せず、その数年後に会社を辞めることになった。その先輩は現在、有名企業の社長だが(知っている読者にはわかるはず)。
しかも当時、上司である役員に「休みます」と許可を求めたところ、それが7月初に毎年開催される社員総代会(株式会社の株主総会に相当)の日にかかっていたため、「部長たるもの、総代会に休むとは何や」と小言をいただいた。でも「しゃあないな」と思ってもらったのか、許しを得たが。
ひょっとしたら、当時、7月初に休むことが多かったので、小言は別の年の旅行のことだったかもしれない。そうなると、ますます不良だ。
それはともかく、1999年のラサはチベットの雰囲気を十分に残していて、非常に良かった。2007年にも訪れたが、他の中国の都市と同様、大きく変わっていた。もっとも、少し郊外に行くとまだまだチベットそのものだったが。
ラサ自体が富士山とほぼ同じ高さにある。食べ物はあまり期待しないほうがいい。1999年当時の料理はチベットそのもの、悪く言うと訳のわからない料理が出てきた。
ヤクの肉を食べようというので注文したが、高度でいい加減まいった身体には少しつらいものがあった。7月のラサはにわか雨が多く、その日も大慌てで食堂に駆け込んだものだから、高山病の症状が出ていた。そのせいもあろう、ヤクの肉の匂いにはむっという感じになった。完食主義者だが、残してしまった。不良仲間の先輩も残したから、お互い体調が悪かったのだろう。
ラサでは植物系の食べ物が美味いと思う。魚は基本的に出てこない。川魚はいるが、鳥葬と水葬の風習があり、川魚を遠避けている。
ということで残念ながら、「美味い」と記憶に残る料理はない。懐かしいのは、結局のところ、チャンというどぶろくのような酒である。薄い酒だが、高度があるからちょうどいい強さだ。少し甘酸っぱい。食欲のない時、つい飲みたくなるが、なかなか飲ませてくれない。きっと安くて儲からないのだろう。

2011/11/05


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