今日の日経朝刊の「けいざい解説」に高齢社会は高齢者よりの政治に陥りやすいとの説明があった。高齢者の有権者の割合が高まるからだ。年金や雇用などにその傾向が出てくるとある。
この解説で残念なのは、日本の特殊性への言及がないことだ。昨日の「農業パラサイトと選挙制度」で指摘したように、日本の選挙は、地方の声が拡大する制度になっている。
その地方は平均以上に高齢化が進んでいる。また、日本自身、高齢化の先進国でもある。このため、高齢者の声を実態以上に重視した社会制度へのインセンティブが働く。すなわち年金制度改革が進まない可能性がある。それとも、年金財政危機が急速に進行し、政治が切羽詰まり、年金制度改革が断行されるのだろうか。年金制度に関して、現状維持と改革の両方の力が強く働く、ぎくしゃくした社会になりやすいと考えられる。
これに関して思うのは、高齢者の雇用である。定年を延長し、60歳前後まで働いた会社で引き続き働けるようにするのが社会的に好ましい政策なのだろうか。もちろん、「働いてほしい」と切望される者もいるだろう。しかし、多くの者は「早く辞めてほしい」と陰口をたたかれるのが落ちのように思う。やたら威張るか、仕事についていけないか、その両方かだろう。自分自身が60歳を超え、いろいろと限界を感じていることだし。
それよりはボランティア的な働き口を多く作るのが社会的に望ましい。老々介護的なものでもいいだろうし、放置された畑を無償で貸し出して耕すことでもいいはずだ。心持ちの賃金を支払う、収穫物の一部を無償で提供するなどの工夫があれば、やりたい老人は多いと思える。老人のための楽しい職場を役所横断的に考案すべき段階にある。
2011/11/13