28日に公表された鉱工業指数を分析してみた。生産指数が当初の予想に反して大幅な低下(前月比マイナス2.6%)だったので、少しばかり分析しておく必要を感じた。
輸出も良くないし、タイの洪水の影響もあるし、11月の鉱工業生産が前月と比べてマイナスになることは予想されていた。しかし、マイナス2.6%は大きすぎる。
生産が目立って低下しているのは輸送機械、情報通信機械である。精密機械もマイナス幅が大きい。タイの洪水の影響がありそうだ。一方で、以前から指摘しているように、電子部品・デバイスの回復がはかばかしくない。タイの洪水にのみ原因を求めるのも無理がありそうだ。
用途別(財別)に見ると、資本財(輸送機械を除く)が底堅い。金属工作機械、土木建設機械などがプラスになっている。建設財もプラスである。これに対し、消費財は大幅なマイナス、生産財もマイナスとなっている。金属工作機械、土木建設機械は日本の競争力が高く、アジア向け輸出が高水準を維持していると考えられる。消費財はタイの洪水の影響が響いている。心配なのは生産財である。日本企業が製造する完成品はテレビに象徴されるよう競争力を失ってきているが、生産財は比較的高い競争力を維持してきた。それが競争力を徐々に失ってきているのかもしれない。
もう1点、12月、1月と生産が急回復すると企業は予測している。しかし、この予測の実現率が夏以降マイナスを続けている。どうも生産の回復は変調をきたしている。
2011/12/30