本日、信用格付けとは何かに関し、議論した。デフォルト(債務不履行)とは何を意味するのか。デフォルトしたとして、その後の債権の回収をいかに評価するのか。真面目に考えると難しい。
デフォルトといっても、法的な処理に入るものと、その前に名称はともあれ誰かが(代表的には銀行が)犠牲になって救済に入るものと、どう違うのか。誰かが犠牲的精神から救済すれば一般債権者は胸を撫で下ろすものの、その前にはハラハラしているはずだ。ハラハラするのが嫌なので(監督官庁や内部から文句も出てくるので)、社債をはじめとする債権を投げ売りしてしまうこともあるだろう。救済されるかどうかの不安定な状態に入ること自体がリスクであり、そのリスクを評価するために格付けがあるのだとの議論も可能である。
デフォルトの後の債権の回収の可能性(何割を取り戻せるのか)も、担保が付与されているのか、劣後特約があるのか、財務上の特約が付与されているのか等、真面目に考えれば、これらの状態によって回収率は変化する。さらに最終的に回収できたとしても、時間がかかるし、回収のためのコストもかかる。これらも格付けの中に織り込まないといけないとの議論も可能である。
また、デフォルトといった場合、どのくらいの時間軸(ターム)でデフォルトを考えているのかである。極論すれば100年後に生き残っている企業がどれだけあるのか。また、10年後の世の中がどうなっているのかの予想でさえ難しいわけだから、10年後の企業の姿を格付けとして評価することも難易度が高いはずだ。では、格付けのタームは1年なのか、3年なのか、5年なのか。
まあ答えはないのだろう。そもそも企業経営などの複雑な事象を、AとかBとかの単純明快な記号で評価することが格付けの意義である。複雑な事象の枝葉をバサバサ捨象することに意義があるとも言える。それだけに、いろんなことを格付けに織り込もうとすればするだけ、単純明快な格付けからどんどん離れていってしまう。これは格付けの一種の矛盾と言えるだろう。
2011/12/09