山を歩くのに一番ややこしいのが里山だ。京都に転居してとくに思うのが、民家が昔の郊外に広がり、小さな谷を埋め尽くしているから、山の入口が分かりにくい。どこから入るのか、一苦労だ。
そもそも自分の家の近くを見知らぬ登山者にうろうろされたくないというのもあるだろう。意地悪な住民性もあるのかもしれない。昨日(今日のブログは今日書いている)、最初に登ったのは沢山という「ファミリー向け」コースだ。そういうキャッチでガイドブックに掲載されている。でも、最寄り駅のどこにも標識はないし、国道(周山街道)からの入口にも、入口から住宅街のややこしい道にも何もない。「どこがファミリー向けや、迷い果てるで」と思った。ようやく谷沿いの一本道に入ると「沢山」の標識があった。標識がなかったとしてもその道しかないのだが、「正しく歩いている」ことを確認できてほっとする。
こっちも「ファミリー向け」とあったので適当にしか調べてこなかった。というわけで、現地に着いてからいきなり真剣勝負に直面したようなものだ。その後も、沢山の頂上に着くまで、「正しいのかどうか」確信のないままだったし、(ここから先はファミリー向けコースとは違うコースだが)太平記に出てくるという京見峠(字の通り京都が見渡せる峠)への下りも、最後のピークだった十三石山への分岐も、ガイドブックの表示が違っているか、説明不足だった。そこは適当に、長年の薮山歩きの勘で切り抜けた。まあ、「山歩きが本業」と冗談でしゃべっているから仕方ないかもしれないが。
下山は十三石山から北の尾根伝いに雲ヶ畑に出るか、一旦戻って北に流れる谷沿いを下るか迷ったが、十三石山付近は雪が積もっていたので、安全な谷沿いを選んだ。雲ヶ畑の市ノ瀬に着き、バスの時間を確認した。惜しいことに20分程前に出た後だった。次のバスは数時間後だった。事前にバスの時間を調べなかった報いである。
「しゃあない」というので上賀茂神社まで車道を1時間以上かけて歩くことにした。ここでふと気づいたのが、「それなら、十三石山の手前にあった分岐を東にたどり、加茂川に直接出るのが正解だった」ということだ。昨日たどったルートは「加茂川の支流の谷を北にたどり、加茂川に出て、その加茂川を南にたどる」ということだったから、1時間程度を無駄にしたことになる。大した山でないとはいえ、適当にコースを選び、バスがあればラッキーと思いながら適当に歩いたものだから、最適なルートを歩けなかったということだ。
2011/12/29