突如として事件になったオリンパス。事態の解明が進み、上場が継続されるかどうか、経営権が誰の手に移るのかもしくは現状のまま残るのかが、最後の問題となった感がある。
経営権の問題はともかく、上場は現状のまま維持されるのではないかとの観測が強まっている。また、上場維持を望む声も強い。
しかし、上場が維持されることが大局的に見て望ましいのだろうか。一度、上場廃止となることが企業規律の上で、また株式投資の魅力を高めるうえで正しい措置だと思う。
発行された株式を幅広い投資家の売買の対象とするのが上場(株式公開)である。証券取引所による上場基準があり、その基準によって「一定以上の品質がある」との保証が付けられている。上場されているとは、いわば百貨店の食料品売り場に並べられるに等しい。このため、経営が危機的状態を迎えたり不正が生じたりすれ上場が廃止される。少なくとも、腐ったもしくは腐る恐れのある食品を百貨店の店頭に並べない措置である。
そもそも現在の上場維持基準は甘すぎると感じている。投資するに足りない株式がいつまでも上場されている。百貨店がブランドを維持するには、「腐る」という基準では不十分である。食べて「まずい」のなら、やはり百貨店の店頭に並べてはいけない。
オリンパスのように上場企業として不適切な行動をとった企業が上場を続けることができれば、「どうせ大した罰はない」と、オリンパスを真似て出鱈目の経営をするダメ企業(ダメ経営者)が後を絶たないだろう。上場基準とは、上場として「いけないことをしたが改心したかどうか」ではなく、そもそも「悪いことはもちろん、いけないこともしない」であるべきだ。
後者が基準となってはじめて、上場企業は「(投資して)美味しい」との評価が高まる。「ひょっとしたら今はまずいかもしれないが、どこかの時点で美味しくなるかもしれない」のが今の上場企業だと暗に言われて、「じゃあ今、株式を買おう」と思う投資家がどこにいるのだろうか。
新しいオリンパスが上場されるにふさわしい企業であるのなら、一度上場廃止になっても、いずれ再上場されるはずだ。このように考えると、まずは厳罰を与えて上場廃止にすればいいではないか。
2012/01/13