少し前(1/13)のことだが、日経朝刊の最終面の美術蘭に「ばくれん」と題する喜多川歌麿の浮世絵があった。「手」にちなんだ美術品の紹介である。なかなか迫力があるが、奇妙な雰囲気もある。
まだ新聞が手元にあれば見て欲しいが、大きな髷を結うた女性が着物の袖を肩までまくり上げ、ワイングラスのようなものでぐびっと酒を飲んでいる。左手には大きなカニ(ワタリガニ)が握りしめられている。髷とグラスの対比が特異な印象を与えるし、カニをどうやって食べるのだろうと心配になるし、解説にあるように女性が男勝りな(今で言う肉食系の)印象を与える。
そもそも「ばくれん」って単語が聞きなれないので、「あばずれ」のことかなと思って辞書を引くと、「すれていてずるがしこいこと、そのような女性、あばずれ、すれっからし」とある。
一方、この浮世絵に対する日経の評には「たくましく野性的で、ほれぼれするほど勇ましい姿」、「活き活きとしたはちきれんばかりの生命力」とある。
浮世絵の右上には、「教訓、親目鑑」、「俗云うばくれん」という文字が見える。喜多川歌麿は何を意図してこの作品を描いたのか。「教訓」からすると批判的だったのか。
何が本当なのか分からないが、でも面白い作品なのでとりあえず切り抜いておいた。実物を見たいものだ。
2012/01/15