久しぶりの日本に戻ると郵便の山があった。どの国に行っていたのかはともかく、その郵便の山にFAXでの訃報があった。少し前に書いたように、FAXの半分は、某と言うか元の会社からの訃報だ。
その訃報は元足立信之副会長のものだった。足立さんはニッセイ基礎研究所の元会長でもあった。88歳とある。海軍だったと記憶しているが、戦闘機に乗り、第二次世界大戦で九死に一生を得て日本生命に入り、経営者となられた。僕自身は足立さんの直接の部下になったことはないが、一度だけ、ニッセイ基礎研究所の会長を務められていた時、ヨーロッパの出張にご一緒した。いわゆるカバン持ちでの出張だったが、英語が十分に話せるわけでもないカバン持ちだから、珍道中だった。
鮮明に覚えているのは、ついでにイギリスのコッツウォルズ (Cotswolds)のマナーズガーデンを訪れたことだ。5月だったと思うが、庭の一角にハンカチの花が咲いていた。家内と一緒に小石川でその花を見た直後だったので、そのことを話した。また、日本に帰ってから、その時の写真を進呈した。
戦争であれ何であれ、一度死の寸前を体験することが人物を大きくするのだろう。足立さんと一緒に旅行していても、その気配がひしひしと感じられ、大いに参考(何の参考?)になった。
会社を辞めるときに挨拶できず、その後もそのままになっていたのが残念である。というか、いい加減にしてしまったのを後悔してしまう。その代わりではないが、ご冥福を祈りたい。
2012/01/26