貿易統計2012年2月
「貿易黒字5ヵ月ぶり黒字」と、今日の日経夕刊の見出しである。正しくないことはないのだが、中立的な見出しでないことも確かだ。表面的な事実と本質が異なることに注意しないといけない。
新聞の「黒字」は生の数字での話である。中国の春節がどうのこうのとは言わない。2月は、いずれにしても輸出入の差額が黒字になりやすいことに注意しないといけない。そこで、季節調整済みの輸出と輸入の差額（公表数値）を見てみると、3132億円の赤字（輸入超過）である。季節調整済値での輸入超過は、昨年3月から12ヵ月連続となった。もっとも、輸入超過は1月よりも改善している。
季節調整に対し、いろいろと文句を言ってきた手前、前年同月比も示しておきたい。輸出額はマイナス2.7％である。マイナス幅は12月や1月に比べるとかなり縮小している。一方、輸入額は9.2％のプラスである。こちらの増加率は大きな変化がない。結論は、1月との比較において2月の輸出が回復したのは確かである。これが輸出入差額の改善をもたらしている。しかし、抜本的なものではない。
ついでに地域別に輸出動向を見ておくと、アメリカ向けが前年同月比でプラス12％と、久々に高い。アジア向けも、今日の速報段階で詳細は不明だが、マイナス幅が縮小している。これこそ中国の春節の影響があったのかもしれない。一方、ヨーロッパ向けは依然として前年同月比で2桁のマイナスである。
3月にどのようになるのか、注目しておきたい。
2012/03/22
