AIJ問題に絡み、R&Iの知る人ぞ知る機関紙「年金情報」の名前が登場している。2007年12月と08年11月、「年金情報」による投資顧問会社のアンケート調査でAIJがトップになっていた。
2007年12月は「アクティブ運用能力の定量評価」で、08年11月は総合評価で、AIJがトップだったという。この結果を信頼して投資した年金もあったらしい。
資産運用に関するアンケート調査はよく行われている。アナリストやエコノミストのランキングもそうである。アンケート調査で上位を得るとアナリストやエコノミストの給与も上がるようだ。だから水面下の工作が盛んである。
投資顧問会社のアンケート調査の水面下に何があるのかは知らないが、規模にかかわらず1票は1票だろうから、小さな年金基金に接待攻勢があっても不思議ではない。投票する側も投じた1票が何らかの害を直接もたらすわけではないから、気楽に投票する。もちろん、見かけの投資パフォーマンスも重要だ。その結果、AIJがトップになったのだろう。不思議なのは、2009年にトップにならなかったことである。よくない噂が広がったためかもしれない。
この手のアンケート調査とはそんなものであり、人気投票でしかない。もちろん、アンケートの設問の仕方や対象といった、統計的な問題もある。いずれにせよ、アンケートとは1つの参考情報にすぎない。最後は自分で確かめるか、信頼できる情報を別途集めるか、努力とコストを注ぎ込まないと真実に接近できない。この点でも、AIJにひっかかった年金基金は素人だった。
2012/03/02