日本証券経済研究所の小林和子さんから「日本証券史論」をいただいた。日本経済評論社からの出版である。副題は、「戦前期市場制度の形成と発展」とある。
小林和子さんは証券市場史の権威である。「さん」付けと呼ぶのは気が引けるものの、昔から親しくしてもらっているので、他の敬称を付けるのも変、そのままにしておく。
実は僕自身、かつてから戦前の証券市場にも関心を持っていた。戦後の証券市場を語るに、戦前、戦中、敗戦直後の状況が重要だからである。この戦後の証券市場の出発点が異なっていれば、その後の証券市場も今とは相当異なったものになっていたと思う。
しかしながら、戦前の証券市場に関する資料は多くない。その資料を集めようと思っても(時たま思うのだが)、市場に出回っていない。図書館もしくは、それこそ日本証券経済研究所に閲覧を頼まないといけないだろう。それだけに、貴重な資料に基づいて書かれた本書は、証券市場の研究者にとって必須である。
481ページの大著である。9000円+税と高価だが、それだけに税アップの前に入手しておかないと、とも思う。
2012/03/09