川北英隆のブログ

きれい事で海外進出が可能か

コンプライアンスに関係する議論をしてみたい。コンプライアンスに関して一見、日本は非常にきれいな社会になった。しかし、日本や世界をよく見ると、合法的な不公平、不公正が許されている。
日本社会のどこが不公平、不公正なのかは言わない。各人がじっと考えれば、競争が合法的に(認可や既得権益などによって)制限されている場面がいろいろと思い浮かぶはずだ。
それはともかくとして、日本国外ではどうだろうか。「菓子折りの下に山吹色」の世界が広がっているのが事実である。そんな状況において、日本の常識の範囲内で「菓子折り」だけを持参し、仕事の話を始めようとすれば、何が生じるのか。
企業にとって「菓子折りの下に山吹色」が御法度だとすれば、方法は2つである。1つは、圧倒的に優位な製品やサービスを持参すること。これなら、挨拶代わりに「菓子折り」を持って行っただけでも、相手からすれば「すごい企業が、何と礼儀正しく行動しているのか」となる。もう1つは、政府もしくは国が一体となって「山吹色」を提供することである。無償援助や政府借款がこの「山吹色」に相当する。
では、後者の対応を想定するとして、実際に何をどの程度すればいいのか。また、そのタイミングはどうなのか。それは、現地の事情に詳しい者の判断にゆだねるしかない。
しかし、残念ながら日本の大企業の本部は、そういう泥臭い仕事が嫌いか、そもそも泥臭い仕事があることすら知らない。日本のエリートは、そういう仕事から無縁だからエリートだという、どういう論理でそうなったのかが不明な世界に生きている。
要するに、現場を知らないのが日本のエリートである。現場を知らないし、知っていたとしてもどう動けばいいのかの知恵もコネもない。これでは日本とは異質であることが当然な海外に進出できない。日本の国際化が遅れている背景には、以上のような実情があるのではないだろうか。お坊っちゃま社長や役員では日本企業は衰退の一途である。

2012/03/30


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