3月の貿易統計が公表された。外出先からなので品目まで調べてみようという気力がまったくないので、概観だけを調べてみた。そうすると、新聞報道で受けた印象とは逆で、良くなかったようだ。
その最大の理由は、季節調整済値でみて、輸出入の差額が昨年4月(6784億円)に次ぐ6213億円のマイナスになっているからだ。
公表された季節調整済値を擁護しておきたい。確かに3月は輸出が季節的に増える。だから、輸出入差額がマイナスになることはあまり想定できない。手元に長期データはないものの、1990年以降、赤字になった3月を探してみると、リーマンショック直後の2009/3しかない。大震災のあった昨年の3月も一応黒字だった。
それはともかく、地域別に輸出を見ると、新聞で報道されているように、アメリカの回復が目立つ。まだまだリーマンショック前の水準には戻っていないものの、前年比20%を超える増加である。アジアも前年比でのマイナス幅を大きく縮小させ、3月は水面上に顔を出すか出さない状態に戻った。唯一、EUが相変わらず冴えない状態を続けている。
一方、輸入は高水準を続けている。エネルギー関連の輸入の影響が大きい。原発の停止が長引けば、それだけ大きな影響を与える。感想を述べれば、政府として電力供給をどうするのか、対応を早急に打ち出すべきだろう。
それはともかく、以上の輸出入の結果として、季節的な変動をならせば貿易赤字の状態が続いている。改善の傾向は見えない。貿易赤字が円安をもたらし、それが資金流出を呼び、さらなる円安の加速と国内での資金不足を生み出すから、金利の上昇圧力を意識せざるをえない。そんな状況が着実に近づきつつあるとしか思えないのだが・・・。
2012/04/20