4/17、日経夕刊の3面に変な記事を見つけた。見出しは、海外勢に「日本株再生」論。事実を書いている記事に近いので、内容そのものがとくに変とは言わない。記事に登場する投資家の風潮が変だ。
少し前に書いたように、日銀の金融政策への過剰な期待が「変だと思う原因」を形成している。日銀が頑張れば日本経済が浮上するとの風潮が強すぎる。多少期待するのは、中央銀行の役割が経済の状況を正常化することにあるのだから当然だとしても、いつまでも期待を続け、しかも要求水準がどんどん高まるのは異常だ。
この風潮が株式投資家にも蔓延し始めている。日銀によるETF(インデックス運用ファンド)の積極的購入が株価の上昇と市場の活性化に直結するとの期待である。株価は企業業績を反映するものでしかない。日銀に期待するのは大いに筋違いである。
日銀がETF購入という異例の政策を採用しているのは、その政策の選択において、日本株式が実態以上に見捨てられていると判断したからだろう。では現在、日本株は売られ過ぎなのだろうか。残念ながら、そうではなさそうだ。業績が悪すぎるのである。
投資家として必要な行動は、投資対象である上場企業を叱咤激励し、業績向上を促すことだ。企業を甘やかしておいて、一方で日銀に過剰に期待し、日銀が株式市場を意識して行動しないときに「日銀はけしからん」と怒ることではない。
日銀も広い意味で「お上」である。自分で何も行動せず、「お上」にすがり尽くす投資家なんて、「お主も悪よのう」の悪徳商人未満である。
2012/04/18